バーバラ・クーニーの素敵な絵に魅了されてもっと読みたいと思いませんか?
- バーバラ・クーニーはどんな人?
- バーバラ・クーニーのおすすめ作品は?
- どんな絵本を描いてるの?
バーバラ・クーニーの作品は、1冊読むとファンになってしまいます。
- 圧倒的な絵の美しさ
- 人生の豊さを知ることができる
- 読んだ後に人生で何が大切なのか気付かされる
- 子供たちが生き生きと描かれている
チリとチリリシリーズで有名などいかや先生も、バーバラ・クーニーが大好きで影響されたとおっしゃっています。
そんなバーバラ・クーニーの絵本はたくさんありますが、実際に読んでみて素敵だった作品をたっぷり15冊ご紹介します。
自分の座右の銘となる1冊がきっと見つかりますよ。
バーバラ・クーニーはアメリカを代表する絵本作家
バーバラ・クーニーは、1917年にアメリカのブルックリンで生まれました。
2000年に82歳で亡くなるまで、実に110冊以上もの絵本を残したそうです。
そんな絵本が世界各地で読まれて、ファンまでいるのですから、すごい偉業ですよね。
110冊以上の絵本には、挿絵だけを担当した絵本もあれば、ご自身で文章も手がけた作品もあります。
絵がとにかくうまい!
バーバラ・クーニーが愛される理由に、『絵の美しさ』があります。
1960〜70年代のアメリカで出版されていた絵本をざっと見ても、絵が抜群にうまいのがわかります。
当時は、コミカルな絵が主流だったのかもしれません。
しかし、バーバラ・クーニーの繊細できれいな描写は、現代の日本でもファンがいるほど、世界を魅了する素晴らしさです。
なぜそこまで絵が上手なのかは、プロフィールから納得できます。
アマチュアの画家だった母の影響で幼い頃から絵を描くのが好きだった。スミス大学で美術史を専攻し、ニューヨークのアートスチューデントリーグでエッチングとリトグラフを学ぶ。
参考:英語絵本ワンダーランド
エッチングやリトグラフといえば、細かい線で描く版画というイメージが強いです。
こういった技術を学んだことから、バーバラ・クーニー独特の細い線と繊細なタッチで描く表現になったのかもしれませんね。
作品は人生で大切なことを教えてくれる
魅力的なのは絵ばかりではありません。
作品のストーリーも、バーバラ・クーニーを語るには外せません。
特に、『クリスマス』をテーマにした作品で右に出る者はいないのではないでしょうか。
クリスマスの歴史や文化を教えてくれる作品をバーバラ自身が著作しているくらいです。
彼女自身を長々と説明するよりも、作品を知ってもらった方が早いと思いますので、早速ご紹介していきます。
バーバラ・クーニーおすすめ絵本|大人が読んでも楽しめる絵本
子供が読んでも面白いけど、大人が読んでも楽しめる絵本をご紹介します。
人生の目標や、人生で大切なものを教えてくれます。
代表作『ルピナスさん』
記事の冒頭でもちょっと触れましたが、ルピナスの花をモチーフにした作品です。
大人向けでおすすめしますが、作品の対象年齢はは4、5歳からになっています。
- 作・絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:掛川恭子
- 出版社:ほるぷ出版
ルピナスさんが子供の頃、毎日のようにおじいさんから遠い国々のお話を聞いていました。そして、おじいさんとの約束もあり、世界中を旅して、そのあと海辺の小さな家に住みます。
ルピナスさんは、おじいさんから「世の中を、もっと美しくするために、何かしてもらいたいのだよ。」という3つ目の約束を、どのように果たそうか考えていました。
そんな折、背中を痛めて寝込んでいて、もう何もできないと諦めかけた時に、「世の中を美しくするため」にどうすればいいのかを知るチャンスが訪れます。
ルピナスさんは、いったいどのようにして世の中をもっと美しくしたのでしょうか。
ルピナスのピンク、紫、水色の色合いがとってもキレイな作品です。
絵本のどのページを見ても、ルピナス色が配色されている工夫がされています。
何よりも、凛々しく自立している一人の女性が、世の中を美しくするために貢献している姿は、女性としては見習いたいところです。
息抜きに読んでみると、キレイな絵とルピナスさんの前向きで力強い生き方に、元気をもらえますよ。
『エマおばあちゃん』の生き方に賛同
『エマおばあちゃん』は、とってもチャーミングな72歳のおばあちゃんのお話です。
- 文:ウェンディ・ケッセルマン
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:もきかずこ
- 出版社:徳間書店
72歳で、ひとりぐらしのエマおばあちゃん。ふだんは、しましまねこと静かにくらしています。お誕生日にあそびに来た子どもや孫たちからお祝いにもらった絵をながめているうちに、おばあちゃんは自分でも絵を描いて見たいと思いたちますが…。素朴で、味わい深い絵本です。
参考:徳間書店
家族からお祝いにもらった絵が気に食わなくて、自分で絵を描こうと思いたつ、おばあちゃんの姿がとってもチャーミングです。
そして、自分の好きなことに熱中して、それが人生の喜びとなり、一人の寂しさを感じないくらい幸せな生活を送っているエマおばあちゃんにあこがれます。
老後はスケッチに出かけたり、絵を描いて暮らしたいなと思っていたので、まさにわたしの理想のおばあちゃんです。
しかも、自分が好きでやっていることで、他人を喜ばせることもできるなんて、素敵ですよね。
おばあちゃんが描く絵も、この作品の見どころです。
あなたは仕事や子育てが終わったら何がしたいですか?
『ちいさな曲芸師バーナビー』はバーバラの力作
『ちいさな曲芸師バーナビー』は、元々は『聖母マリアの曲芸師』という何百年も語り継がれてきたお話です。
- 再話・絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:末盛千枝子
- 出版社:現代企画室
お父さんに曲芸を教えてもらい、親子二人三脚で曲芸師を仕事にしていたバーナビー。お父さんが亡くなって1人で曲芸をしながら生活をしていましたが、寒い冬にはお客が集まらず、凍えていました。
そんな時に修道士が声をかけてくれて、修道院で暮らすようになります。修道士たちが一生懸命神様に祈りや捧げ物をしているのに、自分には曲芸しかできないことを、1人嘆き悲しむバーナビーは、自分にしかできない捧げ物に気づくのですが…。
このお話を作品にするため、その元となった13世紀の写本を見るために、バーバラはわざわざパリまで行ってます。
さらに、曲芸師の男の子が放浪したであろうフランスの街を旅して、スケッチをしたそうです。
作品を作るために注いだ情熱がどれほどのものだったかは、仕上がった作品を読んでみると分かります。
そして、どれだけ思い入れの深い作品なのかは、バーバラが自分の息子にバーナビーと名付けていることからもうかがい知ることができます。
天涯孤独のバーナビーが、曲芸しかできなくて、マリア様とイエス様にお捧げする贈り物がなくて、惨めで悲しい気持ちになっているのに、追い討ちをかけるように修道院から追い出されるような出来事が起きてしまいます。
そこから、どのように救いの手がバーナビーに訪れるのか必読です。
わたしは、思わず泣いてしまいました。
実在の人物を描いた『エミリー』
世界的に有名な詩人エミリー・ディキンソンを描いた作品です。
- 文:マイケル・ビダード
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:掛川恭子
- 出版社:ほるぷ出版
近所の家に20年も外に出ていない女の人が住んでいます。女の子は気になりますが、なかなか見かけることはありませんでした。
ある日、女の子のお母さんが、気になっていた家にピアノを弾くことを頼まれます。一緒についていくと、2階に色白で白い服を来た女の人がいました。
初めて読んだ時、よその家の2階に行ってみたら白い服の色白の女の人がいて…って、ホラーじゃん!と思ってしまうような、つかみどころのないエミリー。
その不思議な雰囲気のエミリーが、ちょっと近寄りがたい存在に感じます。
しかし、少女と素敵な手紙のやり取りをしているので、そうでもないようです。
きれいな雪景色と、儚げなエミリーの描写が、とっても美しい絵本です。
『満月をまって』で知らない歴史を知る
2000年に亡くなったバーバラ・クーニーが最後に残した作品です。
100年も昔、山奥で手作りしたかごを売って生計を立てて暮らしていた人々を題材にしています。
- 文:メアリー・リン・レイ
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:掛川恭子
- 出版社:あすなろ書房
かご職人のお父さんは、いつも満月になるとハドソンまでかごを売りに行きます。少年は、かご作りの技術や木々の見極め方などに精通しているお父さんを尊敬していました。
大きくなって、お父さんとかごを売りにいける日を心待ちにしている少年は、とうとうお父さんから一緒に行ってもいいと許可が出ます。
ところが、長い道のりを越えて、街でかごを売ったところ、街の人から「山猿が来た」と言って罵られるのです。
かご職人とは尊い仕事で、お父さんのことも尊敬していた少年は、街の人の言葉に衝撃を受けます。
果たして、少年はどのようにして立ち直るのでしょうか。
信じていた世界が崩れるというのは、子供にとっては本当に衝撃的な出来事です。
そんな悲劇を立ち直らせることができるのは、家族であり、仲間であると共に、自分自身なのだと思い知らされます。
自分の目で見てきたことが、一番大事ではないか。
自分を信じること。
木の声を聞いたり、風のうたを編む、そんなかご職人の尊い仕事を、バーバラの素朴できめ細かいきれいな絵で知ることができる作品です。
コルデコット賞を受賞した『にぐるまひいて』
バーバラ・クーニーといえば『にぐるまひいて』。
そう言っても過言ではないかもしれません。
この作品で、バーバラは2回目のコルデコット賞を受賞しています。
コールデコット賞は、1937年にアメリカ図書館協会によって創設された権威ある絵本賞のひとつです。19世紀のイギリスのイラストレーター、ランドルフ・J・コールデコットにちなんで命名され、アメリカ合衆国で出版された絵本の中から、最も優れた作品を描いた画家に対して、年に一度授与されます。(中略)
コルデコット賞を複数回受賞している方は、創設された1937年から7名しかいないので、どれだけすごいのか分かますね。
- 文:ドナルド・ホール
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:もきかずこ
- 出版社:ほるぷ出版
家族が1年かけて作ったものを、お父さんが町まで売りに行きます。
荷物を積んでいた荷車まで売ってしまい、身軽になったお父さんは、そのお金で次のまた作るための材料を買って帰ります。
家族は、また来年売るためのものを一から作り始めるのです。
昔から語り継がれてきた、自然とともにシンプルに暮らす家族の物語。
この作品を読むと、昔はやるべきことが明確で、自分の役割もはっきりしていて、家族の絆も強いから、現代より幸福感を味わえたんだろうなと感じます。
現代は便利になって、生活が複雑化した分、自分の役割が曖昧で、家族の形も様々です。
自分の本当の幸せがどういうものなのか知りたくなって、物が多い豊なくらしではなく、シンプルな暮らしをしたくなる作品です。
シンプルな物語だからこそ、バーバラの絵が引き立って、お父さんが1人帰ってくる道のりの景色も、とてもきれいです。
『みずうみにきえた村」で訴えかける
アメリカ・マサチューセッツ州にあるクアビン貯水池についての実話を元にした作品です。
- 文:ジェーン・ヨーレン
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:掛川恭子
- 出版社:ほるぷ出版
小さな村で、自然とともに穏やかに暮らしていた少女サリー・ジェーン。
ある日、町からダム建設の話を持ちかけられ、村人たちが何回も夜な夜な会議を開いているのを見守っていたところ、村は貯水池の底に沈むことが決まります。
工事が始まると、どんどん家々は運ばれて、友人たち家族も引っ越していってしまいます。
勝手知ったる村の景色も、あっという間に無くなってしまいました。
貯水池に村が沈んだ後、お父さんと一緒に湖をボートに乗って、村の面影を見ています。
静かに語られるストーリーとは裏腹に、容赦無く進められる工事の様子が胸に響きます。
ダム建設のために、村が沈められる話は日本でも聞きましたが、絵で目の当たりにすると、結構衝撃的です。
それでも、人々の暮らしのためには必要なのかもしれません。
ただ、どれほどの犠牲を払って、今があるのかを忘れないようにすることが大事なんだと思います。
大迫力の『北の魔女ロウヒ』
フィンランドの叙事詩カレワラに触発された描いたバーバラ・クーニーの力作です。
3歳の長女が、気に入って何回も読んでいます。
- 文:トニ・デ・ゲレツ
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:さくまゆみこ
- 出版社:あすなろ書房
魔法でなんでもできる魔女のロウヒは、いたずら心で太陽と月を隠してしまいます。
ところが、真っ暗になった世界では、人間は暮らしていけません。
暗闇の世界は、果たして光を取り戻すことができるのでしょうか。
なんといっても、大きなワシに変身したロウヒが、太陽と月を持ち去ろうとしている迫力の絵が見事です。
普段は、魔法でなんでもできる分、魔法を使わずにスキーを使ってわざわざ雪を歩いたりするロウヒが、いざ魔法を使うとめちゃくちゃかっこいいというギャップが素敵です。
バーバラ・クーニーの作品の中では、かなりダイナミックな絵を楽しむことができるので、魔法やファンタジーが好きな子供向け作品です。
そして、大人もロウヒの虜になりますよ。
バーバラ・クーニーおすすめ絵本|子供が主人公の絵本
バーバラ・クーニーの作品には、子供が主人公の作品も多いです。
どの作品も、子供の可愛さと成長ぶりに、我が子を重ねて自分のことのように嬉しくなります。
描かれている子供がとってもかわいらしいのでおすすめです。
『ピーターのとおいみち』は母に内緒の話
少年ピーターが、お母さんには内緒で、1人遠くにある村まで出かけて、帰ってくるだけのお話なのに、大人の事情に打ちのめされて帰ってきて、自分の一番大切なものに気づくお話です。
- 文:リー・キングマン
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:三木卓
- 出版社:講談社
ピーターは村から遠く離れたところで暮らしているため、同じ歳くらいのお友達がいませんでした。いつも遊んでいるのは、動物ばかり。
1人寂しい思いをしていたピーターは、「5歳になれば村の学校へいくから、友達もできるわよ」とお母さんに言われていました。
とうとう5歳の誕生日を迎えたピーターが、友達をくださいという願いを自分で実現するために、1人で村まで行くことにします。
村への道は遠くて、途中で動物に出会うけど、すぐいなくなってしまいます。
村についてやっと学校を見つけましたが、友達に会うことができませんでした。
ガッカリして帰るピーターを待っていた、とっても嬉しい出来事はいったいなんでしょうか。
この作品を読むと、ピーターが可愛らしくて、仕方ありません。
学校のある村まで遠い道のりを往復するだけのお話なのに、「友達がほしい」という一心で、一生懸命歩いているピーターの姿を我が子のように応援したくなります。
そして、最後に「大切な友達」というものが何なのかを知って、大喜びするピーターの絵が、とっても可愛らしくて、自分のことのように嬉しくなる作品です。
『ちいちゃな女の子のうた“わたしは生きてるさくらんぼ”』は絵の美しさが際立つ
詩のような文なので、バーバラ・クーニーの美しい絵がとにかく引き立つ作品です。
2019年に待望の復刊により、新品で手に入るようになりました。
図書館や中古本などでしか手に取ることができなかったので、嬉しいことですね。
- 文:デルモア・シュワルツ
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:白石かずこ
- 出版社:ほるぷ出版
女の子は、わたしはなんにでもなれるし、毎朝新しいものに生まれかわることができると唄います。
木や花、魔法使い、赤、金、緑にだってなれると。
女の子の率直な言葉に、バーバラの絵が彩りを添えます。
初めは、裸の女の子が歌っている絵で、なんだかこの世の存在ではないかもしれないというような、恐ろしさを感じる印象です。
でも、女の子が歌っている言葉は、よく吟味していると、確かに「自分がなりたいと思えば、なれるな」と思えるようになるのが不思議です。
そうさせているのは、バーバラの絵のおかげかもしれません。
わたしは、あかよ。
わたしは 金。
わたしは みどりよ。
わたしは 青なの。
わたしは いつも わたしでしょう。
出典:『ちいちゃな女の子のうた“わたしは生きてるさくらんぼ”』
特に、この色が続く場面では、女の子が言っている色を絵にしているのですが、これが息を飲む美しさです。
こんな短い言葉だからこそ、バーバラの繊細で厳かな絵が引き立ちます。
「挿絵」というポジションで、ここまで作品の世界を広げられる画家はそうそういないと思います。
『雪の日のたんじょう日』は雪遊びをしたくなる
雪遊びといえば、雪だるまを作ったり、そり遊びなどを想像すると思いますが、アメリカならではの遊び方を知ることができる作品です。
- 文:ヘレン・ケイ
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:あんどうのりこ
- 出版社:長崎出版
12月生まれのスティーブンは、他のお友達が外でお誕生会を開いているのに、毎年寒いから自分の誕生会を外でできないことを嘆いていました。
そのため、今年はもっと特別なお誕生日になるように、雪が降ってほしいをお願いします。雪が降れば、誕生日に外で友達と遊べるからです。
その願い通り、雪は降るのですが、想像以上の大雪で、遊ぶどころか、お誕生会の招待客は誰1人来れませんでした。
来たのは雪で足止めされた親子だけ。
スティーブンは、どのようにお誕生日を過ごしたのでしょうか。
スティーブンの家族がとっても素敵です。
12月の初めでは滅多に雪が降らないのに、スティーブンがお願いするものだから、お母さんが心配そうにしている姿が印象的です。
スティーブンの心の微妙な変化を細やかに描写されていて、ハラハラドキドキしながら、一緒にお誕生日を過ごしている気分になります。
最後のどんでん返し(?)に、なんて素敵な誕生日なんだろうと、ほっこりしますよ。
バーバラ・クーニーおすすめ絵本|クリスマスにまつわる素敵なお話
バーバラ・クーニーは、クリスマスの絵本を数多く残しています。
クリスマスの絵本は、世界的にも多くありますが、バーバラ・クーニーの作品は物静かで、暖かみのある作品が多いです。
その中で、実際に読んでおすすめの作品をご紹介します。
『クリスマス』でクリスマスのことを知ろう
バーバラ・クーニー自身が文章も書いた作品で、子供も読めますが、どちらかというと大人が楽しむ絵本です。
- 文・絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:安藤紀子
- 出版社:ロクリン社
クリスマスの起源とその習慣をバーバラの緻密な挿絵とともに解説しています。
「なぜサンタクロースがやってくるのか?」、「贈り物をするのはなぜか?」「七面鳥を食べるのはどうしてなのか?」など、クリスマスの文化や歴史を教えてくれています。
てっきりキリストの誕生について描いた作品かと思って読んでいたら、クリスマスの解説書でした!
クリスマスの起源は知っている方も多いですが、クリスマスの習慣についても描かれていて勉強になります。
ただサンタさんがプレゼントを持ってきてくれるイベントの日ではなく、どんな日で、どういった経緯で現代のお祝いの仕方になったのかを知っていると、毎年のクリスマスがより楽しめますね。
『とってもふしぎなクリスマス』はゴブリンの王様の話
ニューベリー賞を受賞した作家と、コルデコット賞を受賞した画家がスペシャルコラボした作品です。
チロル民話を元に描かれた、とっても心が暖かくなる1冊です。
現在は、新品で買うことができないので、中古品か図書館で手に取ることができると思います。
- 文:ルース・ソーヤー
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:掛川恭子
- 出版社:ほるぷ出版
谷間の村にとても貧しい靴屋の一家が暮らしていました。お母さんは亡くなって、靴屋のお父さんと3兄弟の4人家族です。
ひもじい食事ばかりでしたが、靴屋の仕事でお金が入ると、その日はごちそうが食べられました。
しかし、戦争で仕事が激減し、冬がきて、もう食べ物はほとんどありません。
そんな中、お父さんはクリスマスイブに仕事に出かけ、3兄弟は留守番をして、ごちそうを待っていました。
3兄弟がいる家に訪れたのは、サンタさんではなく、小柄な醜いおじさんです。
図々しいし、小さい子に対しても容赦なく、手荒に扱います。
でも、その珍客が思わぬ嬉しい贈り物をしてくれるのです。
クリスマスのお話で、子供たちに贈り物をしてくれるのが、サンタさんではなく、醜いゴブリンの王様なことにビックリします。
しかも、その態度の悪いことと言ったらありません。
とてもいいことをしてくれそうにない姿や言動なのに、贈り物をしてくれる(贈り物と書いてますが、実際は面白い形で子供たちが食べ物を手に入れます)ところがユニークです。
3兄弟の下の子たちを手荒に扱う珍客に、長男が健気に下の子をたちをかばう姿に、心打たれます。
ごちそうを食べるときの、「シュニッツル、シュノッツル、シュヌーツル」というおまじないも、何回も出てきてクセになります。
小さいお子様と読んだら、一緒に「シュニッツル!シュノッツル!シュヌーツル!」と言いたくなる素敵な絵本です。
バーバラ・クーニーおすすめ絵本|グリム童話を元にした作品
バーバラ・クーニーは、グリム童話を元にした作品も残しています。
その中で、おすすめの2冊をご紹介します。
『しらゆきべにばら』は絵のタッチが違う
バーバラの挿絵は、緻密で彩りのキレイな絵が特徴的ですが、この作品はちょっと絵のテイストが違います。
- 原作:グリム童話
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:鈴木晶
- 出版社:ほるぷ出版
山奥にお母さんと2人の姉妹が住んでいました。2人は、お庭の白いバラと赤いバラにちなんで、しらゆきとべにばらという名前でした。
ある晩、3人が家で過ごしていると、クマが寒さをしのぎにやってきました。
悪さをするどころか、一緒に楽しく過ごして、その後何回も訪れるようになり、暖かくなってきた季節に来なくなりました。
しばらくして、2人はおつかいの途中で恩知らずの小人に会います。手助けしたのに、お礼を言うどころか、罵って去っていくのです。
そんな恩知らずの小人に何回も嫌な目に合わされていたある日、2人を助けてくれる恩人が現れるのですが…。
端的に言うと、2人の姉妹が、いい人と出会って、幸せに暮らすお話なのですが、その過程がなかなか奇抜で面白いです。
大筋のハッピーエンドに至る経緯よりも、脇役として出てくる小人のあまりの酷さに笑ってしまいます。
それほど酷いこと言ってるのに、2人の姉妹は文句の一つも言わないのも、すごいところです。
小人とクマがどのような形で2人を幸せにしてくれるのか、ぜひ読んでみてください。
『ロバのおうじ』で人は見た目じゃないことを学ぶ
「人は見た目で判断してはいけない」ということを学ぶのにピッタリの作品です。
なんだか自分も幸せな気分になれるお話です。
- 原作:グリム童話
- 再話:ジーン・クレイグ
- 絵:バーバラ・クーニー
- 翻訳:もきかずこ
広くて平和な国の王様とお妃様には、子供がいなかったので、魔法使いに子供が欲しいと頼みに行きます。
ところが、王様が魔法使いへの支払いをごまかしたために、生まれてきた子供は、ロバの姿をしていました。
ロバの王子は、みんなに認めてもらおうと必死に勉強をしたり、王子らしい立ち居振る舞いも学びましたし、美しいリュートを弾けるようにもなりました。
しかし、ロバの姿をしている自分を王様もお妃様も見てはくれませんでした。
悲しみにくれたロバの王子は、リュートを持って、旅に出ます。
旅の途中に寄ったお城で、お抱えのリュート弾きになるのですが、そこではみんなに喜ばれて、誰からも好かれる存在になりました。
ロバの王子は、そこで幸せになれるのでしょうか。
わたしのバーバラ・クーニー作品ベスト3に入るほど、お気に入りの作品です。
なんといっても、ロバの王子が健気で、努力家なところに魅かれます。
どれだけ一生懸命頑張っても、認めてもらえないなんて、自分の子供がそんな状況だったら親としては悲しくて仕方ありません。
そんなロバの王子が、人々に認められて、幸せになっていく姿にとっても癒されます。
最後のハッピーエンドも、読者まで幸せ気分にさせてくれる、素敵な絵になっています。
バーバラ・クーニーおすすめ絵本まとめ|人生の豊かさを知ることができる
バーバラ・クーニーの絵本は、彼女の絵があるからこそ、物語がより魅力的になっています。
数多くある作品を、何冊も読みたくなるのは、やはり絵の魅力があってこそなのかもしれません。
今回実際に読んでおすすめした作品は、全部で15冊です。
- 『ルピナスさん』
- 『エマおばあちゃん』
- 『ちいさな曲芸師バーナビー』
- 『エミリー』
- 『満月をまって』
- 『にぐるまひいて』
- 『みずうみにきえた村』
- 『北の魔女ロウヒ』
- 『ピーターのとおいみち』
- 『ちいちゃな女の子のうた“わたしは生きてるさくらんぼ”』
- 『雪の日のたんじょう日』
- 『クリスマス』
- 『とってもふしぎなクリスマス』
- 『しらゆきべにばら』
- 『ロバのおうじ』
バーバラ・クーニーは110以上もの作品を残されているので、ご紹介したのはごく一部になりますが、それでも出会えて良かった作品ばかりです。
なかなか手に入りにくい作品もあるので、また新たに作品を読むことができたら、追記していきますね。
- ルピナスさん
- エマおばあちゃん
- 小さな曲芸師バービナー
ぜひ、バーバラ・クーニーの作品を手に取っていただいて、自分の人生に新たなエッセンスを加えてみてください。
きっと心が暖かくなって、子供にも読み聞かせたくなりますよ。
◆バーバラ・クーニーが好きになったきっかけは、どいかや先生が影響されたとおっしゃっていたから。
そんなどいかや先生の絵本「チリとチリリ」は寝かしつけにぴったりの作品ですよ。
チリとチリリ『あめのひのおはなし』|待望の新作が色々とぶっ飛んでる
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